工藤伸一随想集【Shin`s Selfish Sketches】Net Life Category 001
僕がIT革命に乗り遅れた理由
【第1稿】 2002/11/16 【最終更新日】 2002/11/16

僕がこれまでに購入した一番高い買い物は平凡社の世界大百科事典でした。今からちょうど10年前のことです。それは欲しいと思って買ったもので、訪問販売で買わされたものではなかったんですが、当時すでにパソコンを利用した通信網もそこそこ普及していたことを考えると、どうせ30万近くかけるならパソコン一式を買っておけば良かった気もします。 しかし当時、収入の安定していた僕は、総額100万円もする世界中で使えるとかいう高級なメンバーズカードとモノクロ液晶画面つきのノートパソコンのセット商法にひっかかり、商品が届いた直後にソフトを買いに行ってみたところで、もうすでにモノクロ液晶画面なんて型遅れで半額以下で売られている事を知り腹を立てて、商品をつっかえしていたんです。
 それいらい長らく、パソコン業界=詐欺まがいの連中が跋扈する信用ならないもの、という考えが頭から離れずにいて、今から3年ほど前に、企業向けのホームページ製作の営業マンをするためにネットの講習を受けるまではずっとパソコンを毛嫌いしてきたのです。それ以前にもゲーム業界でテストプレイヤーを3年やってましたから、デジタルな文化に接してきてはいたものの、自分でパソコンを買うのにはどうしても抵抗があったのです。パソコンが出来ていればゲーム業界にももっと長くいられたかもしれないと、今になって考えてみたりもしています。よく考えてみたらパソコンを扱えない人間がゲーム業界に居残ろうなんて魂胆がそもそも、とんだお笑い種だったわけです。
 最初にパソコンを手に入れた当時は、まだインターネットというものは出来ていなくて、パソコン通信の時代でした。その頃からパソコンやネットに精通していれば、今頃、相当の通になれていただろうと思うと、どうにも悔やまれるのですが、その分、パソコンを手にしなかった時期にアナクロな文化に接する機会をかなり持てたので、それはそれでよかったのかもしれません。後悔していてもしょうがないからと自分に言い聞かせている部分もあります
から、必ずしもそうとは言い切れませんけどね。とはいえ、ネットやパソコンにはまってしまうとなんでもそこに頼ってしまいがちになり、出来なくなったりしなくなったりする事も、やはりあるにはあると思うんです。
 産まれたばかりの時期からすでにパソコンやネットを利用できる環境にあるこれからの世代の子供達が大人になる頃には、一体どのような未来が待っているのでしょうね。きっとこれまでの世の中とは全然違った世界が、そこにはあるような気がしてなりません。類猿人がたって歩き始め、道具を使うようになり、やがて絵画や文字が産まれ、印刷や発電や映画の技術が開発されるというような、人類史的に大きな意味を持つ新たな転換期に、今まさに我々は直面しているところなのです。   (了)


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