【Foo-Ring〜風鈴〜】


Foo-Ring・・・

そのささやくような音色を耳にして
あの頃の思い出が目を覚ます

桜とともに舞い降りた春は
照りつける太陽の下の蝉時雨とともに途絶えた

季節の移ろいにつられるようにして
二人の心も揺れ動き
風が肌寒さを感じさせる頃にはもう
僕らの心は通じ合わなくなっていた

いつも一緒にいるのが
愛情の証ってわけじゃないんだよね
離れていても分かり合えるようじゃなきゃいけないのさ
会いたい気持ちは大切だけど
会えない辛さに耐えられないようじゃ
きっとだめなんだね

なんていうのはあくまでも
今だからこそ言える言葉さ

あの頃の僕らときたら
いつも一緒でひとときも離れないでいようとしていて
反比例のグラフを進めるように
こころの距離を縮め過ぎた挙句に
君の心は水平線の彼方に見えなくなってしまった

――ひとりぼっちの僕の心に
ゆっくりと染み込みながら静かに響き渡る
しまい忘れた風鈴の調べは
移ろいやすい秋の空の下で
かすかな
夏の日の風を見せてくれた


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