工藤伸一の小説
ペロが死んだ
【第1稿】2003/06/13 【最終更新日】2003/06/13 【公開日】2005/07/26

 タカシくんは、ことししょうがっこうにはいった、いちねんせいのおとこのこだ。
 タカシくんのいえには、タカシくんがうまれたときから、コリーけんのペロがいっしょにすんでいた。
 パパやママのはなしでは、ペロはもうおじいちゃんなんだそうだ。
 あきになったあるひのこと。
 ペロとあそんでいたら、きゅうにペロがくるしそうにして、たおれてしまった。
 ペロはうごかなくなって、もうおきあがることはなかった。
「ペロはしんじゃったのよ」とママがいった。
「しんじゃったってどういうこと?」
「もうペロにはあえなくなるってことよ」
 タカシくんは、なんとなくそうなんじゃないかとおもっていたけれど、はっきりそうだといわれて、とてもかなしくなった。
「そんなのいやだよ!」
「いきものはいつかかならずしんじゃうの。だからしょうがないの」
 タカシくんは、がっこうでせんせいから「にんげんはいきもののなかま」だってきいていたことをおもいだした。
「ママやパパもしんじゃうの?」
「そうよ。いつになるかわからないけど、いつかはかならずしんじゃうのよ」
 ママのくちからでたおもいもしなかったはなしに、タカシくんはこわくなってなきだした。
 ママはタカシくんをだきよせた。
「なかなくていいのよ。ママとパパがしんじゃうのは、きっとタカシくんがおとなになってからだから。しんぱいしないで」
  タカシくんはいつもあそんでいるこうえんにやってきて、すなばですなにみずをまぜてつちをつくり、つちのペロをつくってみた。
 しばらくながめていると、ほんもののペロのようにみえてきた。
「ペロ、あいたかったよ!」
 タカシくんはつちのペロにてをさしのべて、やさしくひたいをなでつづけた。
 ひがくれて、しんぱいしたママがむかえにくるまで、いつまでもずっとなでつづけた。
(了)

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