工藤伸一の小説
老い(Senescence)
【第1稿】2003/06/13 【最終更新日】2003/06/13 【公開日】2005/07/26

「早く、こっちにきなよ」
「なあに?」
「面白い番組をやってるんだ。お前の好きな俳優が出てるぞ」
「……番組?」
「バラエティ番組だよ」
「あなた、さっきから何をしているの?」
「テレビを観てるんだよ」
「どこで?」
「リビングに決まってるじゃないか」
「でも、あなた……」
「どうしたんだい? 深刻そうな顔して」
「どうしたって……あなたこそ、一体どうしちゃったの?」
「何のことだい? ちょうど今いいところだから、お前も観ろよ」
「いったい何を観ろって言うのよ!?」
「さっきから何のつもりだ? みっともなく声を荒げるなよ」
「……みっともないのは、あなたのほうじゃないの!」
「なんだよ、ヒステリックだな。更年期障害か?」
「そこは台所なのよ! そしてあなたがさっきから見つめてるのは、電子レンジじゃないの!」 (了)


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