【2002年の短歌】(2月〜12月・計35首)

【2月・2首】 (第1稿:歌毎に記載・最終更新日:2005/04/26)

安住の地を求めては踏み荒らし 三途の河原の如き 吾が日々(2002/02/17)

煩悩を越えて 無我なる境地にて ただのほほんと老ゆく莫迦者
(2002/02/18)

【4月・1首】
(第1稿:2002/04/27・最終更新日:2005/04/26)

奇を衒うことに疲れて できるだけ普通がいいと思う この頃

【5月・1首】
(第1稿:2002/05/22・最終更新日:2005/04/26)

どうしても手放したくない物のために あきらめたくない夢のためにと 今日も必死で働くのですね

【6月・8首】
(第1稿:歌毎に記載・最終更新日:2005/04/26)

蜘蛛の巣の意味を持ちたるWWW(ダブダブダブ=ワールドワイドウェッブ)
蜘蛛の糸の逸話の如く
この吾と遠き世間とを わずかに繋ぐ(2002/06/01)

自らの名誉のための球の奪い合い それが世のためになることもあるんだなあ(2002/06/04)

大仰な言い回しにて 平坦な吾が日常を記す 虚しさ(2002/06/05)

その過去もあの遠い出来事も確実に 寸分の隙間もなく世界はつながっている(2002/06/07)

日々浴びる浸かる飲み込む新しき水分が 日々、僕を新しくする(2002/06/08)

生きた気もせぬ程の飢餓感 それゆゑに湧き起こり来たる 生の実感(2002/06/12)

有名と無名のはざま そこにいる全ての人に伝えたき歌(2002/06/13)


誰にでもいいところがある  そこだけを見ていれば ほら、みんないい人(2002/06/14)

【9月・1首】
(第1稿:2002/09/10・最終更新日:2002/09/10)

かげりゆく真夏の陽射し 長くなりゆく毎夜ごとに つのりゆくさびしさ


【10月・5首】 (第1稿:2002/10/01・最終更新日:2005/04/26)

思い出も夏の青葉も もろともにふきとばされて 台風一過

聞き飽きたような気もする言い回し「戦後最大規模の台風」

陸上の世界新記録さながらに塗り替えられる「戦後最大」

そんなにもすごい台風だったとは……信じられない、死者も出たのか

凄まじき台風過ぎて 何事もなかったごとき すず虫のこゑ


【11月・5首】
(第1稿:2002/11/03・最終更新日:2002/11/03)

木枯しのさぶき季節の霜月は 吾(われ)が産まれし誕生の月

しんしんと身に凍(し)みるこの寂しさが 深き懐疑に吾(われ)をいざなふ

憂鬱になるのはきっとただ単に 外が寒いから、それだけのこと

気を強く持て 気にするな 気のせいだ 気が狂(ふ)れるのも気が晴れるのも

せめてもの暖を求めてつつく鍋 ただ一心に白菜を食(は)む

【12月・12首】 (第1稿:2002/12/04・最終更新日:2002/04/01)

2週間部屋に篭りて雪も見ぬ吾が青春に降り積もる雪

久々の外気の味のガス臭き世間と吾の距離の遠さよ

読むことと書くことだけを生活の全てとしたき作家志望者

どうせならいっそ『だめんずうぉーかー』の素敵な美女に飼われてみたい

湯気のなか立ち上りたる懐かしき家族とつつく吾が独り鍋

現在は過ぎ去ってゆくもの故に常に過去形として語りうるのみ

「時」の名はどうにか知っているもののその正体を見た事もなし

過去はいまどこにある? 未来はそして現在はどこにあるのだ? どこにもないぞ

動くから時が経つのか? 時が経つから動くのか? 時の不思議さ

くりかえし訪れるのは気のせいでこの冬はどの冬とも違う

早朝の冷えた空気に溶け込んで消え行く白き吾が息も過去

返事などないだろうとは知りつつも過ぎ行く「時」を呼び止めてみる


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