【2003年の短歌】(01月〜04月・計86首)

【1月・9首】 (第1稿:2003/01/01・最終更新日:2003/01/02)

本を読みながら眠りて気が付けば年変わりたり続き読むなり

何事か終わるか如き騒動の末の今年も今までどおり

年暮れて暦リセットされてなお借金だけは残り続けて

昨年もお世話になったものですが本年もまたよろしく、孤独

新年の最初のメシは昨年の暮れに炊きたるご飯の残り

忘れずに残しておいた情熱を傾けていざ、2003年

地味なれど忙しくあれ眠りつつ夢見続ける羊のように

銀色のつなぎを着てさ、夢見よう『20世紀のレトロ・フューチャー』

前世紀没せしSF作家には永遠に未来の21世紀


【2月・7首】 (第1稿:2003/02/03・最終更新日:2003/02/03)

憧れの21世紀の幕開けは「不景気」「テロ」に「独裁者」「事故」

人類の礎として天命を遂げしシャトルよ、その名は「努力」

「挑戦」の教訓を得て「努力」してなほも険しき重力の壁

「イマジン」を最期の朝に聴きしのち国境のなき空に散りたり

「銃弾に斃れし男」その祈り世紀を超へて国を諌めり

キリストかアラーか仏か知らぬれど天は憂いし星の争乱

コロニーやシャトルを造るNASAにさへ創れぬ星を壊す愚かさ


【3月・50首】 (第1稿:2003/03/20・最終更新日:2003/03/29)

将来を担う子供も爆撃で殺してしまう正義の狂気(2003.03.29.)

イラク人だからといって子供まで殺すその様ナチスの如し(2003.03.29.)

自己主張できる平和のありがたさイラク市民と比べて思う(2003.03.29.)

だがしかし国民の声聞き入れぬ体制だけはイラクと同じ(2003.03.29.)

戦争が起きていようと気にせずに普通に生きる事の無慈悲さ(2003.03.29.)

本当に「神」がいるなら人的に「神罰」くだす必要もなし(2003.03.20.)

「正義」などなければ「悪」もないわけで後はただ人、人、人の群れ(2003.03.20.)

毒盛りて毒を制する者あればその毒もまた制す毒あり(2003.03.27.)

暴力を正義の術と呼ぶのならお望みどおり殴ってやろう(2003.03.27.)

戦争と関係のない悲劇なら毎秒ごとに起きているのに(2003.03.20.)

「アメリカのテロ被災者」と「毎年の交通事故死者」どっちが多い?(2003.03.20.)

「人間の盾」と無縁の路地裏の報道されぬ浮浪者の死(2003.03.20.)

アパートの前に舗道はなく家とクルマの隙間危うく歩く(2003.03.22.)

人口の過密地帯に唐突に広き米軍住宅地の庭(2003.03.22.)

入ったら撃ち殺される檻のなか眩く茂る芝生の青さ(2003.03.22.)

僕の住むアパートからは徒歩2分なのに近くて遠いアメリカ(2003.03.20.)

轟音を撒き散らしつつ飛んでいた米軍機減り神奈川は晴れ(2003.03.22.)

防衛の手薄になったこの時期にまたテポドンが来たら怖いな(2003.03.22.)

ニュースにはジョージ・ブッシュが、CMになりボブ・サップが……「アメリカまみれ」(2003.03.22.)

映画化で済ましておけばいいものを『ジョージ・ブッシュとアラブの油田』(2003.03.27.)

ごちそうと冷暖房の完備した環境にいてきどる憂国(2003.03.27.)

聖戦の悲劇思えば懐かしきクリントン氏のお茶目な性戦(2003.03.27.)

本物の火遊びをするくらいなら下の火遊びするほうがまし(2003.03.27.)

学校を休んで親に連れられて『デモ』に参加し喜ぶ子供(2003.03.22.)

「放棄した」わけではなくて「させられた」はずなのになぜ偉そうなのか?(2003.03.22.)

負けたから逆らえません、この私。『お気に召すまま〜My Fair Lady』(2003.03.20.)

負けてなお訳知り顔の負け犬の遠吠えだけに聞き流されて(2003.03.22.)

本気なら負けたままではいられまいこれを期に袖分かつべきなり(2003.03.22.)

貿易も条約もみな打ち捨てて叫ぶべきなり「鬼畜米英」(2003.03.25.)

できぬならこの国に住む我々も殺人教唆の共犯者なり(2003.03.25.)

「いち早く殺してくれ」と殺し屋の親分の手を友は握りし(2003.03.25.)

その友を親分となす我々もみな人殺しみな犯罪者(2003.03.25.)

殺人の罪はブッシュや小泉に加担している我等にもあり(2003.03.25.)

「国」というものの本質考えてみて浮かびたる「組」という文字(2003.03.25.)

「カタギには手を出さぬ」のとよく似てる「民間人に手を出さぬ」事(2003.03.25.)

抗争の片棒担ぐこの「組」も既にカタギと言えない立場(2003.03.25.)

親分がご機嫌をとるそのわけは自分の組を守りたいから(2003.03.25.)

親分の暮らし支えるショバ代を払う僕らも組の一員(2003.03.25.)

戦死者の死体写真が出ないのも情報操作の一環なのか?(2003.03.22.)

戦争で死ぬ可能性知りながら赴くはただ「生活」のため(2003.03.22.)

戦況の如何を問わず無傷なり国家首脳もデモ参加者も(2003.03.22.)

戦争に関係のない人生は幸か不幸か今まで通り(2003.03.22.)

他人(ひと)様の不幸の蜜を啜りつつ吾を忘れて現実逃避 (2003.03.20.)

明らかな武力行使の場合だけ「戦争」と呼ぶ事への疑念(2003.03.20.)

名声やカネや愛情を奪い合う「この戦争」にも No more war !(2003.03.20.)

成功の裏に破滅に導かれ死ぬ者がいる事実を想え(2003.03.22.)

いまここに生きているのはおしなべてみな自覚なき殺人者だけ(2003.03.25.)

恐竜やアンモナイトやマンモスが滅びてこその吾々の今日(2003.03.20.)

誰がどう生きたところで変わらないように思える宇宙の未来 (2003.03.20.)

信徒らのこころ支える「信仰」と似たようなもの「吾がニヒリズム」(2003.03.20.)


【4月・20首】 (第1稿:2003/04/01・最終更新日:2003/04/26)

スペックが足らずフリーズしてばかり僕のマシンも僕本人も(2003.04.26)

なんとまあ頼りなさげな体たらくメモリ容量も僕の度量も(2003.04.26)

『四月馬鹿』だったら洒落で済むけれど僕の頭は『年中四月』(2003.04.01.)

「幸せ」というのは嘘で「不幸せ」というのも嘘、というのも嘘(2003.04.01.)

目の前に差し伸べられた幸せも掴めないほど汗まみれの掌(て)(2003.04.01.)

「何もかも嘘!」っていくらエイプリル・フールとはいえそれはないかな(2003.04.01.)

ショッポーの最後の1本とりだして待ちぼうけつつマッチ摺る夜(2003.04.01.)

少年の頃の思い出もろともに肌ごと削いで今日も髭剃り(2003.04.01.)

あてどなきメシベ求めて花粉とぶ春に僕らも誰かと出会う(2003.02.08.)

僕ちゃんの超高感度アンテナで君の電波を傍受したいな(2003.02.08.)

君の出す電波が僕の脳髄を直撃! 恋の電波障害(2003.02.08.)

この想いまでもメールに添付して送りたいけどサイズオーバー(2003.02.08.)

恋ごころ圧縮ファイルに詰め込んで君の心のハードディスクへ(2003.02.08.)

『「想い出」のHD(ハード・ディスク)は一杯です。どこに「上書き保存」しますか?』(2003.04.01.)

くすぶっていた導火線に火をつけてくれた 君は僕の「恋の火打石」(2003.02.10.)

すれ違う風に吹かれて悲しみの雨に濡れても消せない花火 (2003.02.10.)

目配せを交はし体を重ねあふ「まぐわひ」にして「目合ひ」と書き(2003.02.10.)

ドンファンをきどったこともあったのに相も変わらず鈍感な僕(2003.02.10.)

ひとしきり笑い転げたあと、急に悲しくなるのは何故だろう?(2003.02.10.)

悲しみをよりいっそうに強くさせるのは在りし日の笑顔の思い出(2003.02.10.)


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